第六話「喧嘩」

秋も深まった夕暮れ、折からのにわか雨に濡れながら家に戻ると、れいが先に戻っていた。

れいの脚元には、紙袋から滑り出た衣類が散乱している。
木偶の坊 座りG + Dollwig cute
れいみ「これ、だれ?」

俺にスマホ画像を見せるれい。

そこにはひとみさんの後ろ姿越しで俺が映っていた。
木偶の坊 座りG + Dollwig cute
俺「うわっ!」

思わず驚きの声をあげる俺。
誤解を生む驚き方をしてしまった。
俺「いや、ちがっ」

どういう経路でヒットしたかわからなかったが、「モデルのひとみ」より「俺」がクローズアップされた記事がSNSに上がっていた。

ひとみ「わたしと会ったことは、あの子には内緒よ」
木偶の坊 座りG + Dollwig cute
ひとみさんの言葉が頭を過ぎり、戸惑う俺。

大粒の涙をこぼすれい。
木偶の坊 座りG + Dollwig cute
れいみ「バカ!」

俺を押しのけて走り出すれい。
俺「あ、おい!」

れいは裸足で雨の中を飛び出して行った。

俺「・・・」

俺は追いかけることができなかった。
先ほどのひとみさんの話も手伝って、れいの涙に胸が押し潰されそうだった。

散らかった衣類の袋を見ると、俺用のものばかりだった。

終わった。

そんな気持ちに支配され、気付けば大声をあげて泣いていた。


翌日から、3日間仕事を休んだ。


花が傷むので、4日目はさすがに店を開けたが、気持ちは沈んだままだった。
花屋(フリー画像)
すると、一人の女の子が店に入ってきた。

「お話があります」
木偶の坊 座りG + Dollwig cute
見覚えのある子だった。

人気アイドルグループIKBのメンバーゆうみだ。
あまりテレビを見ない俺でも知っていた。
まさか、れいの妹?

案の定、ゆうみちゃんはれいの妹だと言う。
姉のひとみさんに輪をかけて、俺とは住む世界の違う子だった。

れいを初めて見た時、人懐っこさを感じたのは、ゆうみちゃんを知っていたからかも知れない。
しかし、姉は売れっ子モデル、妹は超人気アイドル。
そんな姉妹を持つれいにも、俺なんかとは住む世界が違う存在だと言うコンプレックスを抱いた。

ゆうみちゃんはれいより4つ年下で現在17歳。
ゆうみちゃんの話はこうだった。

今、れいは家に戻って引き籠っている。
元々頭はいいけど、人付き合いがへたで、高校では浮いていた。
モデルとして売れ始めたひとみさんと、アイドルの卵として注目され始めたゆうみちゃんに比べ、見劣りする自分をコンプレックスに感じていたらしい。
引き籠りになった背景には、そんな事情があるのだと言う。

今、俺が感じているコンプレックスと一緒だった。

俺「高3の時、いじめに遭ったって言うのは?」

ゆうみ「ひー姉ちゃんには内緒だよ。れー姉ちゃんは当然知ってるけど、あたし口止めされてるから」
木偶の坊 座りG + Dollwig cute
一呼吸、間を置いてゆうみちゃんは口を開いた。

ゆうみ「実はね、モデルとして売れ始めたひー姉ちゃんの、ライバルモデルのファンがいじめたの」

ひとみさんの話を思い出した。
木偶の坊 座りG + Dollwig cute
「あの子がいじめられたのは・・・」

ひとみさんは知っていると確信した。

俺「ゆうみちゃん、お姉さんはそのこと知ってて、れいを気遣ってるよ」

ゆうみ「えー、なんだー、知ってたのかー」
木偶の坊 座りG + Dollwig cute
さすが人気アイドルと言った感じの、かわいいリアクションだった。

しかし、優しい姉妹だなと思った。
この子のおかげで、沈んでいた俺の気持ちは徐々に復活した。
おおよそ、これまでの因果関係もつかめた気がする。

俺はゆうみちゃんに、もう一度れいと話をする機会を作ってもらえないかとお願いした。

数日後、ゆーちゃんから連絡があった。

ゆうみ「日曜日の午後1時に、家に来て」

つづく
(二人の関係:おい! - バカ!)
ホーム